しんやまさこ
ムチャチャ/あちゃちゅむ
ファッションデザイナー
「女でよかった」
いつもそう思いながら、仕事をしている
気負わない姿勢が、クリエイションに好影響をもたらし
オリジナリティ溢れる世界が広がっていった
ブランド設立は
自然な流れにのった結果
刺繍やペイントなど、ハンドメイドを施したテキスタイルを多用し、懐かしさと新しさが共存するファッションを展開するmuchacha。デザイナーのしんやまさこ氏が作り出すドリーミングワールドが魅力的な子供服ブランドだ。
ブランドを立ち上げて早15年。「実はバリバリ仕事をするつもりは全くなかったけど......」と、しんや氏。元来のんびりした性格で、キャリア志向とは無縁。20代の頃は「結婚したら専業主婦になるもいいな」と漠然と考えたりもしていた。そして、実際に結婚のタイミングで勤めていたアパレル会社を辞めたのだが、なぜか独立→ブランド設立という道を辿り、現在に至っている。「流れに逆らわず生きてきたらこうなった。こんな人生にいちばん驚いているのは自分自身」であるとか。
デザイナーとして、一企業のリーダーとして、これまで歩んできた道のりを振り返ってみると「女であることで、ずいぶん得をしてきた」というのが正直な感想。「男だったらそうはいかないが、女だから許される。そんな場面がたくさんあった」。いい意味での女の気楽さを活かし、周りに助けられながらやってきたという。
いろいろなアイテムをデザインしてみたくて、
子供服を選んだ
モード学園では夜間コースに在籍。昼間はアルバイト、夜は授業、帰宅してからは睡眠時間を削って課題に取り組む日々だった。アルバイト先は学校を通じてアパレル関係の会社を斡旋してもらった。「お金を稼げて技術の勉強もでき、一石二鳥だった。とても充実していた」と当時を懐かしむ。
卒業後は、デザイナーとして㈱BeBeに就職。子供服ブランドを選んだ理由は「大人のブランドと違って、1つのブランドの中に男も女もカジュアルもフォーマルもあり、いろいろ関われて面白いだろう」と考えたからだ。また「私自身が幼いから、向いているジャンルだと思った」とも。そしてその選択は大正解。しんや氏のセンスは子供服の世界にピタリとハマり、デザイナーとしてめきめき頭角を現すことになる。
その後、いくつかの子供服ブランドを経て、独立。1994年にオリジナルブランドmuchachaをスタートさせた。muchachaは、スペイン語で「少女」の意味。その名の通り、お茶目な少女の世界を表現したラブリーな子供服がオンパレード。見ているだけで楽しい気分になってくる。
デザインの原点は
母が手づくりしてくれた服
しんや氏のデザイン原点は、少女時代に母親が手づくりしてくれた服にある。「洋裁が得意で、人一倍おしゃれだった母は、贅沢な素材をたっぷり使って、凝った服を作っては着せてくれた。私は母が作ってくれる服が大好きで、今でもその時の服のディテールまではっきり覚えている」。時は1970年代、あの時代ならではの独特な空気感や街並みなどと一緒になって、刻み込まれた記憶が、しんや氏の服づくりの根底に流れているのだ。
現在muchachaは、国内はもちろん、フランス、イタリアなどのヨーロッパ諸国から、アメリカ、アジアに至るまでワールドワイドに展開しており、今後も徐々に拡大していく計画。また、muchachaのお姉さんブランドとして数年前に立ち上げたahcahcum(muchachaのスペルを後ろから並べて作った名前)にも力を入れていくという。
「チームワークを大切に、ぬくもり感あふれる私らしい服を作っていきたい」と柔らかな表情で語るしんや氏。これまで同様マイペースで、自身のこだわりを追求していく。
※卒業生会報誌「MOGA PRESS」64号(2009年12月発刊)掲載記事
以上、モード学園HPより抜粋
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